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ドン、ドン、ドン、カカカッカ、響き渡る太鼓の音色を体で感じる夜。自治区の盆踊り大会、息子が小学1年生になり太鼓をたたく番になった。はじめての練習日は緊張していたが、小学生から高校生、今年から社会人になった先輩たちにやさしく導かれ、日に日に腰から力が流れるようになっていった。本番は雨で室内での開催だったけれども、6歳から23歳まで叩き手たちは、地域の人たちの中心で、喜びとともに役割をはたしていった。演技とともに体で覚えた人と人とのつながっていく感覚。大きな学びとなり、これから毎年のように深めていくことを思うと、嬉しく思う。
つくラッセルでは、夏休み期間中はさまざまなプログラムを開催している、8月上旬、1週間ほど早稲田大学の寮生たち6名がホームステイして、口々に感想を残してくれた。「東京での生活が慣れない、やらなければいけないことばかりで、ライフスタイルがあわない。あらためて自分自身を振り返って考えることができた。自分が求める幸せとは何かを探していけばいいことがわかった。」「選択肢に出会った」「なんとかなる、なんとかしようというマインドがここには満ちていた」「お互いに尊重する、多様でいいと、言葉ではわかっていたが、腑に落ちた」「自分自身でプレッシャーをかけてきた。そういう生き方が自分の生きかただと思っていたが、人、子ども、自然とふれあうなかで、実は相当無理をしていることに気づいた。」「まとめなくていい、正解がなくていいことに気づいた。」
彼女たちにはつくラッセルでの「山っこくらぶ」というサマーキャンプも手伝ってもらった。山っこくらぶでは、今まで参加者だった子が中学生になりサブリーダーとして参加してくれるようになった。山里に住む若者たちを中心に担ったリーダーやスタッフの大人たちは子連れで参加する、都市部の子どもたちが山里を体験する時間でありながら、山里に住む家族で受け入れる時間でもあったりする。
家庭なのか、地域なのか、仕事なのか、赤ちゃんから、若者から、お年寄りまで、重なっている時間と空間が、聴き合って見繕いあうところからはじまる自在な場が、各々の深い学びを紡ぎだしていく。
生きていく上で、最も役に立つのは「学び続ける力」ではないかと思う。子どもたち、学生たちは、体をとおして、自然をとおして、素直に学ぶ。大人は、つい常識に沿った、いわゆる損得にとらわれて考えやすい。すると、発想は貧しくなり、柔軟さが失われ、居心地が悪くなる。運がよければ得をするかもしれないが、損得勘定では誰かが得をするということは誰かが損をすることでもある。損得マインドでは、学びのロスがいかに多いことか。学びのロスはあとあと響く。暮らす力、働く力も弱める。もったいない。未知の未来に向き合い続けるために、学び続けたい。
平成30年8月 新三河タイムズ寄稿文 戸田友介
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